- 研究所トップ
- ブログ
ブログ
<<前へ | 次へ>> |
天地開闢 「造化の三神」と「神世七代」 イザナギとイザナミの誕生[古事記の研究]
投稿日時:2016/04/26(火) 12:25
1.天地開闢
1-1.「造化の三神」と「神世七代」
最初は天地開闢。世界の誕生です。日本神話の場合、淡々と神様が生まれていく、というのが特徴でしょうか。古事記では、高天原(天つ神の居住地)はそもそも存在しており、ここに三柱の神様が誕生します。
・天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
・高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
・神産巣日神(かみむすひのかみ)
漢字も読みもいきなり難しいですね。。いわゆる「造化の三神」とも呼ばれます。この造化の三神に続いて、さらに「まだ地上世界が水に浮かぶ脂のようで、クラゲのように混沌と漂っていたときに」「泥の中から葦が芽を出してくるような勢い」で二柱の神様が誕生します。
・宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)
・天之常立神(あめのとこたちのかみ)
やはり漢字も読みも難しい。。以上の五柱の神様は特に別天神(ことあまつかみ、別天津神とも)と呼ばれ、神様の中の神様という位置づけではありますが、ただ幸い(?)にも、今後の神話の展開で表立って登場しませんので(時々出てくる)、名前を完全に覚えておく必要性は薄いかもしれません。
しかし、アドバイザー的には以下の二柱の神様(二柱とも「造化の三神」の一角)たちが時々顔を出してきます。
・高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
・神産巣日神(かみむすひのかみ)
とりあえずはこういう神様たちが生まれました、ということで次に進みましょう。
ただ、最後の天之常立神(あめのとこたちのかみ)は高天原そのものを神格したものとも考えられ、その誕生によって、高天原がチョー神聖なものになった、という風には考えられるかもしれません。続いてあらわれる神様と対をなしているという点でも、ある意味分岐点と呼べるかもしれません。
さて次に登場するのが、次の二柱です。
・国之常立神(くにのとこたちのかみ)
・豊雲野神(とよくもののかみ)
先ほどお話した、天之常立神(あめのとこたちのかみ)と一字違いの国之常立神(くにのとこたちのかみ)が登場します。追々説明しますが、日本の神話には大きく分けて天つ神、国つ神というに系統の神様が登場しますが、その分かれ目かもしれません。
この二柱まで、今まで登場した七柱の神様には性別はなく、独神と呼ばれています。この次から、男神・女神のペアが五代(5組のカップル)、続々と誕生していきます。別天津神の五柱を除くそれ以降の七組(独神の二柱が各一組計二組、カップルが五組)十二柱(独神二柱とカップル二柱が五組で計十柱)を総称して、「神世七代」と言います。
「神世七代」の最後に登場するカップルの神様が、
・伊邪那岐神(いざなぎのかみ=イザナギ) 男神
・伊邪那美神(いざなみのかみ=イザナミ) 女神
となります。
この二柱(というよりは、その時はイザナギ一人であり、イザナミは黄泉の世界でしたが)が天照大御神(あまてらすおおみかみ=アマテラス)の親であり、その孫が葦原の中つ国(高天原と黄泉の国の間にある世界、すなわち日本)に降臨(いわゆる天孫降臨)した邇邇芸命(ににぎのみこと=ニニギ)であり、その子孫に初代天皇・神武天皇がいます。
【関連キャラ】
・イザナギ - 日本のとーちゃんはオクテだった?
・イザナミ - 自分から男を誘う積極的な女神
・タカミムスヒノカミ - 神の中の神、アマテラスの分身?
【古事記の神・人辞典】
・アメノミナカヌシノカミ - 造化の三神、別天津神の一柱。
・タカミムスヒノカミ - 造化の三神、別天津神の一柱。
・カミムスヒノカミ - 造化の三神、別天津神の一柱。
・ウマシアシカビヒコヂノカミ - 別天津神の一柱。
・アメノトコタチノカミ - 別天津神の一柱。
・クニノトコタチノカミ - 神世七代の一代目
・トヨクモノノカミ - 神世七代の二代目
・ウヒヂニノカミ | スヒヂニノカミ - 神世七代の三代目。大地が徐々に出来上がっていく
・ツノグヒノカミ | イクグヒノカミ - 神世七代の四代目。生物が発成し育つ
・オオトノジノカミ | オオトノベノカミ - 神世七代の五代目。大地が完全に凝固した
・オモダルノカミ | アヤカシコネノカミ - 神世七代の六代目。人体の完備
・イザナギ | イザナミ - 神世七代の七代目。国産み、島産み、神産み
「神社と古事記」
http://www.buccyake-kojiki.com/archives/1000331655.html
から参照引用しています。
スクーリング 刑事政策②20160319~[大学関連記録]
投稿日時:2016/03/19(土) 01:28
スクーリング 201603 19 20 21
科目名 刑事政策②
担当教員 岩崎 正
授業概要・方法等
◆授業概要
刑事政策とは、社会現象としての犯罪をあらゆる角度から実証的に検証し、犯罪防止のための対策や刑事制裁の内容などについて学ぶ科目です。
◆授業の方法
主に、テキストおよびレジュメ等の配布資料を用いて行います。
学習・教育目標及び到達目標 刑事政策に関する基本的な知識を修得する。
成績評価方法および基準 単位修了試験100%
授業時間外に必要な学修
テキストの該当箇所を一読するとともに、刑事事件に関するニュース・報道に関心を払うようにしてください。
教科書
[ISBN]9784641042971 『入門刑事法 第5版』 三井誠、曽根威彦、瀬川晃/編 有斐閣 平成25年12月 価格:本体2,500円+税
とくに、「第3章 刑事学」の部分を読んでおいて下さい。
授業計画の項目・内容
第1回「刑事政策」とは
第2回わが国の犯罪状況の概観
第3回なぜ人は犯罪を犯すのか①
第4回なぜ人は犯罪を犯すのか②
第5回司法的処遇①捜査段階
第6回司法的処遇②公判・裁判段階
第7回刑罰とは
第8回刑罰の種類・内容①
第9回刑罰の種類・内容②
第10回犯罪者に対する処遇①
第11回犯罪者に対する処遇②
第12回少年犯罪について
第13回犯罪被害者について
第14回その他の各種犯罪とその対策
第15回まとめ
単位修了試験
大津地裁 高浜原発稼働禁止仮処分決定(抜粋)[徒然日記]
投稿日時:2016/03/12(土) 08:44
http://www.news-pj.net/diary/38643より転載
【速報】大津地裁 高浜原発稼働禁止仮処分決定(抜粋)を掲載します
2016年3月9日
平成27年(ヨ)第6号 原発再稼働禁止仮処分申立事件
決 定
当事者の表示
(略)
主 文
1 債務者は、福井県大飯郡高浜町田ノ浦1において、高浜発電所3号機及び同4号機を運転してはならない。
2 申立費用は、債務者の負担とする。
理 由
第1 申立ての趣旨
(略)
第2 事案の概要
1 事案の要旨
本件は、滋賀県内に居住する債権者らが、福井県大飯郡高浜町田ノ浦1において高浜発電所3号機及び同4号機(以下「本件各原発」という。また、本件各原発のうち、高浜発電所3号機を以下「3号機」と、高浜発電所4号機を以下「4号機」という。)を設置している債務者(※関西電力)に対し、本件各原発が耐震性能に欠け、津波による電源喪失等を原因として周囲に放射性物質汚染を惹起する危険性を有する旨主張して、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立てた事案である。
(以下略)
第3 当裁判所の判断
1 争点1(主張立証責任の所在)について
伊方原発訴訟最高裁判決は、「原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看退し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政府の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。
原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政府がした右判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである」旨判示した。
原子力発電所の付近住民がその人格権に基づいて電力会社に対し原子力発電所の運転差止めを求める仮処分においても、その危険性すなわち人格権が侵害されるおそれが高いことについては、最終的な主張立証賣任は債権者らが負うと考えられるが、原子炉施設の安全性に関する資料の多くを電力会社側が保持していることや、電力会社が、一般に、関係法規に従って行政機関の規制に基づき原子力発電所を運転していることに照らせば、上記の理解はおおむね当てはまる。そこで、本件においても、債務者において、依拠した根拠、資料等を明らかにすべきであり、その主張及び疎明が尽くされない場合には、電力会社の判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。
しかも、本件は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制行政に大幅な改変が加えられた後の事案であるから、債務者は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制行政がどのように変化し、その結果、本件各原発の設計や運転のための規制が具体的にどのように強化され、債務者がこの要請にどのように応えたかについて、主張及び疎明を尽くすべきである。
このとき、原子力規制委員会が債務者に対して設置変更許可を与えた事実のみによって、債務者が上記要請に応える十分な検討をしたことについて、債務者において一応の主張及び疎明があつたとすることはできない。当裁判所は、当裁判所において原子力規制委員会での議論を再現することを求めるものではないし、原子力規制委員会に代わって判断すべきであると考えるものでもないが、新規制基準の制定過程における重要な議論や、議論を踏まえた改善点、本件各原発の審査において問題となった点、その考慮結果等について、債務者が道筋や考え方を主張し、重要な事実に関する資料についてその基礎データを提供することは、必要であると考える。そして、これらの作業は、債務者が既に原子力規制委員会において実施したものと考えられるから、その提供が困難であるとはいえないこと、本件が仮処分であることから、これらの主張や疎明資料の提供は、速やかになされなければならず、かつ、およそ1年の審理期間を費やすことで、基本的には提供することが可能なものであると判断する。
2 争点2(過酷事故対策)について
(1)福島第一原子力発電所事故によって我が国にもたらされた災禍は、甚大であり、原子力発電所の持つ危険性が具体化した。原子力発電所による発電がいかに効率的であり、発電に要するコスト面では経済上優位であるとしても、それによる損害が具現化したときには必ずしも優位であるとはいえない上、その環境破壊の及ぶ範囲は我が国を越えてしまう可能性さえあるのであって、単に発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引換えにすべき事情であるとはいい難い。
債務者は、福島第一原子力発電所事故は、同発電所の自然的立地条件に係る安全確保対策(具体的には、津波に関する想定である。)が不十分であったために、同発電所の「安全上重要な設備」に共通要因故障が生じ、放射性物質が異常放出される事態に至つたもので、新規制基準が福島第一原子力発電所事故を踏まえて形成されていることから、福島第一原子力発電所事故と同様の事態が生じることを当然の前提とする債権者らの主張は合理的ではないと主張する。しかしながら、福島第一原子力発電所事故の原因究明は、建屋内での調査が進んでおらず、今なお道半ばの状況であり、本件の主張及び疎明の状況に照らせば、津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明である。
その災禍の甚大さに真摯に向き合い、二度と同様の事故発生を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには、原因究明を徹底的に行うことが不可欠である。この点についての債務者の主張及び疎明は未だ不十分な状態にあるにもかかわらず、 この点に意を払わないのであれば、そしてこのような姿勢が、債務者ひいては原子力規制委員会の姿勢であるとするならば、そもそも新規制基準策定に向かう姿勢に非常に不安を覚えるものといわざるを得ない。
福島第一原子力発電所事故の経過からすれば、同発電所における安全確保対策が不十分であったことは明らかである。そのうち、どれが最も大きな原因であったかについて、仮に、津波対策であったとしても、東京電力がその安全確保対策の必要性を認識してさえいれば、同発電所において津波対策の改善を図ることが不可能あるいは極度に困難であったとは考えられず、防潮堤の建設、非常用ディーゼル発電機の設置場所の改善、補助給水装置の機能確保等、可能な対策を講じることができたはずである。しかし、実際には、そのような対策は講じられなかつた。
このことは、少なくとも東京電力や、その規制機関であった原子力安全・保安院において、そのような対策が実際に必要であるとの認識を持つことができなかったことを意味している。現時点において、対策を講じる必要性を認識できないという上記同様の事態が、上記の津波対策に限られており、他の要素の対策は全て検討し尽くされたのかは不明であり、それら検討すべき要素についてはいずれも審査基準に反映されており、かつ基準内容についても不明確な点がないことについて債務者において主張及び疎明がなされるべきである。
そして、地球温暖化に伴い、地球全体の気象に経験したことのない変動が多発するようになってきた現状を踏まえ、また、有史以来の人類の記憶や記録にある事項は、人類が生存し得る温媛で平穏なわずかな時間の限られた経験にすぎないことを考えるとき、災害が起こる度に「想定を超える」災害であったと繰り返されてきた過ちに真摯に向き合うならば、十二分の余裕をもつた基準とすることを念頭に置き、常に、他に考慮しなければならない要素ないし危険性を見落としている可能性があるとの立場に立ち、対策の見落としにより過酷事故が生じたとしても、致命的な状態に陥らないようにすることができるとの思想に立って、新規制基準を策定すべきものと考える。債務者の保全段階における主張及び疎明の程度では、新規制は基準及び本件各原発に係る設置変更許可が、直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ない。
(2)次に、本件で問題となった過酷事故対策の中でも、福島第一原子力発電所事故において問題となった発電所の機能維持のための電源確保について検討すると、債務者の考えによれば、例えば、基準地震動Ssに近い地震動が本件各原発の敷地に到来した場合には、外部電源が全て健全であることまでは保障できないから、非常電源系を置くということになる。我が回は地震多発国ではあるものの、実際、本件各原発の敷地が毎日のように基準地震動Ssに近い地震重力に襲われているわけではないから、その費用対効果の観点から、外部電源についてはCクラスに分類し、事故時には非常用ディーゼル発電機等の非常用電源(Sクラスに分類)により本件各原発の電力供給を確保することとするものである。経済的観点からのこの発想が福島第一原子力発電所事故を経験した後においても妥当するのか疑問なしとしないが、そのような観点に仮に立つとすれば、電源事故が発生した際の備えは、相当に重厚で十分なものでなければならないというべきである。
ここで、新規制基準に基づく審査の過程を検討してみると、過酷事故発生に備えて、債務者は、安全上重要な構築物、系統及び機器の安全機能を確保するため非常用所内電源系を設け、その電力の供給が停止することがないようにする設計を持ち、外部電源が完全に喪失した場合に、発電所の保安を確保し、安全に停止するために必要な電力を供給するため、ディーゼル発電機を用意することとし、これを原子炉補助建屋内のそれぞれ独立した部屋に2台備えることとしている。またそのための燃料を7日分、燃料油貯油そうを設けて貯蔵するとしたり、直流電源設備として蓄電池を置いたり、代替電源設備として空冷式非常用発電装置、電源車等を設けることとしたことが認められる。また、原子力規制委員会の審査においては、これらの設置に加え、これらが稼働するための準備に必要な時間、人員、稼働する時間等について審査し、要求事項に適合していると審査した。
ほかにも、過酷事故に対処するために必要なパラメータを計測することが困難となった場合において、当該パラメータを推定するための有効な情報を把握するための設備や手順を設けたり、原子炉制御室及びその居住性等について検討しており、これらからすれば、相当の対応策を準備しているとはいえる。
しかし、これらの設備がいずれも新規制基準以降になって設置されたのか否かは不明であり(ただし、空冷式非常用発電装置や、号機間電力融通恒設ケーブル及び予備ケーブル、電源車は新たに整備されたとある。)、ディーゼル発電機の起動失敗例は少なくなく、空冷式非常用発電装置の耐震性能を認めるに足りる資料はなく、また、電源車等の可動式電源については、地震動の影響を受けることが明らかである。非常時の備えにおいてどこまでも完全であることを求めることは不可能であるとしても、また、原子力規制委員会の判断において意見公募手続が踏まれているとしても、このような備えで十分であるとの社会一般の合意が形成されたといつてよいか、躊躇せざるを得ない。
したがって、新規制基準において、新たに義務化された原発施設内での補完的手段とアクシデントマネジメントとして不合理な点がないことが相当の根拠、資料に基づいて疎明されたとはいい難い。
(3)また、使用済み燃料ピントの冷却設備の危険性について、新規制基準は防護対策を強化したものの、原子炉と異なり一段簡易な扱い(Bクラス)となっている。安全性審査については、原子炉の設置運営に関する基本設計の安全性に関わる事項を審査の対象とすべきところ、原子炉施設にあっては、発電のための核分裂に使用する施設だけが基本設計に当たるとは考え難い。すなわち、一度核分裂を始めれば、原子炉を停止した後も、使痛済み燃料となった後も、高温を発し、放射性物質を発生し続けるのであり、原子炉停止とはいうものの、発電のための核分裂はしていないだけといってよいものであるから、原子炉だけでなく、使用済み燃料ピットの冷却設備もまた基本設計の安全性に関わる重要な施設として安全性審査の対象となるものというべきである。
使用済み燃料の処分場さえ確保できていない現状にあることはおくとしても、使用済み燃料の危険性に対応する基準として新規制基準が一応合理的であることについて、債務者は主張及び疎明を尽くすべきである。また、その上で、新規制基準の下でも、使用済み燃料ピットについては、冠水することにより崩壊の除去が可能であると考えられるが、基準地震動により使用済み燃料ピット自体が一部でも損壊し、冷却水が漏れ、減少することになった場合には、その減少速度を超える速度で冷却水を注入し続けなければならない必要性に迫られることになる。現時点で、使用済み燃料ピットの崩壊時の漏水速度を検討した資料であるとか、冷却水の注入速度が崩壊時の漏水速度との関係で十分であると認めるに足りる資料は提出されていない。
3 争点3(耐震性能)について
(1)福島第一原子力発電所の重大な事故に起因して、原子力に関する行政官庁が改組され、原子力規制委員会が設立され、新規制基準が策定されたものであり、新規制基準は、従前の規制(旧指針及び新指針)の上に改善が図られている。当裁判所は、前記のとおり、本件各原発の運転のための規制が具体的にどのように強化され、債務者がこれにどのように応えたかについて、債務者において主張及び疎明を尽くすべきであると考える。
ところで、債務者は、新規制基準においては、耐震性の評価に用いる基準地震動の策定方法の基本的な枠組みは変更されず、基準地震動の策定過程で考慮される地震動の大きさに影響を与えるパラメータについては、より詳組な検討が求められることになったと主張している。
この点、福島第一原子力発電所事故の主たる原因がなお不明な段階ではあるが、地震動の策定方法の基本的な枠組みが誤りであることを明確にし得る事由も存しないことからすると、従前の科学的知見が一定の限度で有効であったとみるべきであり、これに加え、地震動に係る新規制基準の制定過程からすれば、新規制基準そのものがおよそ合理性がないとは考えられないため、債務者において新規制基準の要請に応える十分な検討をしたかを問題とすべきことになる。
(2)このような観点から、債務者の提示する耐震性能の考え方について検討すると、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動を投討する方法自体は、従前の規制から引き続いて採用されている方法であるが、これを主たる考慮要素とするのであれば、現在の科学的知見の到達点として、ある地点(敷地)に影響を及ぼす地震を発生させる可能性がある断層の存在が相当程度確実に知られていることが議提となる。そして、債務者は、債務者の調査の中から、本件各原発付近の既知の活断層の15個のうち、F0-A~F0-B~熊川断層及び上林川断層を最も危険なものとして取り上げ、かつこれらの断層については、その評価において、原子力規制委員会における審査の過程を踏まえ、連動の可能性を高めに、又は断層の長さを長めに設定したとする。
しかしながら、債務者の調査が海底を含む周辺領域全てにおいて徹底的に行われたわけではなく(地質内部の調査を外部から徹底的に行ったと評価することは難しい。)、それが現段階の科学技術力では最大限の調査であったとすれば、その調査の結果によっても、断層が運動して動く可能性を否定できず、あるいは末端を確定的に定められなかったのであるから、このような評価(連動想定、長め想定)をしたからといって、安全余裕をとったといえるものではない。
また、海域にあるF0-B断層の西端が、債務者主張の地点で終了していることについては、(原子力規制委員会に対してはともかくとしても)当裁判所に十分な資料は提供されていない。債務者は、当裁判所の審理の終了直前である平成28年1月になって、疎明資料を提供するものの、この資料によっても、上記の事情(西端の終了地点)は不明であるといわざるを得ない。
(3)次に、債務者は、このように選定された断層の長さに基づいて、その地震力を想定するものとして、応答スペクトルの策定の読提として、松田式を選択している。松田式が地震規模の想定に有益であることは当裁報所も否定するものではないが、松田式の基となったのはわずか14地震であるから、このサンプル量の少なさからすると、科学的に異論のない公式と考えることはできず、不確定要素を多分に有するものの現段階においては一つの拠り所とし得る資料とみるべきものである。したがって、新規制基準が松田式を基に置きながらより安全側に検討するものであるとしても、それだけでは不合理な点がないとはいえないのであり、相当な根拠、資料に基づき主張及び疎明をすべきところ、松田式が想定される地震力のおおむね最大を与えるものであると認めるに十分な資料はない。
また、債務者は、応答スペクトルの策定過程において耐専式を用い、近年の内陸地殻内地震に関して、耐専スペクトルと実際の観測記録の乖離は、それぞれの地震の特性によるものであると主張するが、そのような乖離が存在するのであれば、耐専式の与える応答スペクトルが予測される応答スペクトルの最大値に近いものであることを裏付けることができているのか、疑問が残るところである。なお、債務者は、耐専スペクトルの算出に当たっては、基本ケースのみならず、「傾斜角75°ケース」、「アスペリティー塊ケース」、「アスペリティー塊・横長ケース」を検討しているが、各ケースの応答スペクトルはかなり似通っており、ケースを異ならせることによりどの程度の安全余裕が形成されたかを明らかにし得ていない。債務者の検討結果によれば、最大力B速度(水平)については、基準地震動Ss-1の700ガルが最大であったというのであるから、F0-A~F0-B~熊川断層の三運動(傾斜角75°ケース)の応答スペクトルを超えるところが想定すべき最大の応答スペクトルということになるが、以上の疑問点を考慮すると、基準地震動Ss-1の水平力層速度700ガルをもつて十分な基準地震動としてよいか、十分な主張及び疎明がされたということはできない。
断層モデルを用いた手法による地震動評価結果を踏まえた基準地震動については、債務者は、結果的に、応答スペクトルに基づく基準地震動を超えるものは得られなかったとしているが、債務者のいう、地震という一つの物理現象についての「最も確からしい姿」とは、起こり得る地震のどの程度の状況を含むものであるのかを明らかにしていないし、起こり得る地震の標準的・平均的な姿よりも大きくなるような地域性が存する可能性を示すデータは特段得られていないとの主張に至っては、断層モデルにおいて前提とするパラメータが、本件各原発の敷地付近と全く同じであることを意味するとは考えられず、採用することはできない。ここで債務者のいう「最も確からしい姿」や「平均的な姿」という言葉の趣旨や、債務者の主張する地域性の内容について、その平均性を裏付けるに足りる資料は、見当たらない。
(4)震源を特定せず策定する地震動については、債務者は、平成16年に観測された北海道留萌支庁南部地震の記録等に基づき、基準地震動Ss-6及びSs-7として策定し、この基準地震動Ss-6(鉛直、485ガル)が結果的に最大の基準地震動(鉛直)となっている。債務者の主張によれば、これは、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震について、断層破壊領域が地震発生層の内部に留まり、国内においてどこでも発生すると考えられる地震で、震源の位置も規模も分からない地震として地震学的検討から全国共通に考慮すべき地震を設定して応答スペクトルを策定した」とする。このような地震動についてそもそも予測計算できるとすることが科学的知見として相当であるかはともかくとして、これらの計算についても、債務者による本件各原発の敷地付近の地盤調査が、最先端の地震学的・地質学的夫知見に基づくものであることを前提とするものであるし、原子力規制委員会での検討結果がこの調査の完全性を担保するものであるともいえないところ、当裁判所に対し、この点に関する十分な資料は提供されていない。
4 その余の争点について
(1)争点4(津波に対する安全性能)について
津波に対する安全性能についても、上述の観点から検討しなければならない。新規制基準の下、特に具体飴に問題とすべきは、西暦1586年の天正地震に関する事項の記載された古文書に若狭に大津波が押し寄せ多くの人が死亡した旨の記載があるように、この地震の震源が海底であったか否かである点であるが、確かに、これが確実に海底であったとまで考えるべき資料はない。しかしながら、海岸から500mほど内陸で津波堆積物を確認したとの報告もみられ、債務者が行った津波堆積物調査や、ボーリング調査の結果によって、大規模な津波が発生したとは考えられないとまでいってよいか、疑問なしとしない。
(2)争点5(テロ対策)について
債務者は、テロ対策についても、通常想定しうる第三者の不法侵入等については、安全対策を採っていることが認められ、一応、不法侵入の結果安全機能が損なわれるとはいえない。もっとも、大規模テロ攻撃に対して本件各原発が有効な対応策を有しているといえるかは判然としないが、これについては、新規制基準によって対応すべき範疇を超えるというべきであり、このような場合は、我が国の存立危機に当たる場面であるから、他の関係法令に基づき国によって対処されるべきものであり、またそれが期待できる。したがって、新規制基準によってテロ対策を講じなくとも、安全機能が損なわれるおそれは一応ないとみてよい。
(3)争点6(避難計画)について
本件各原発の近隣地方公共団体においては、地域防災計画を策定し、過酷事故が生じた場合の避難経路を定めたり、広域避薙のあり方を検討しているところである。これらは、債務者の義務として直接に問われるべき義務ではないものの、福島第一原子力発電所事故を経験した我が国民は、事故発生時に影響の及ぶ範囲の圧倒的な広さとその避難に大きな混乱とが生じたことを知悉している。
安全確保対策としてその不安に応えるためにも、地方公共団体個々によるよりは、国家主導での具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるばかりか、それ以上に、過酷事故を経た現時点においては、そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家には発生しているといってもよいのではないだろうか。
このような状況を踏まえるならば、債務者には、万一の事故発生時の責任は誰が負うのかを明瞭にするとともに、新規制基準を満たせば十分とするだけでなく、その外延を構成する避難計画を含んだ安全確保対策にも意を払う必要があり、その点に不合理な点がないかを相当な根拠、資料に基づき主張及び疎明する必要があるものと思料する。
しかるに、保全の段階においては、同主張及び疎明は尽くされていない。
5 被保全権利の存在
本件各原発は一般的な危険性を有することに加え、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所事故という、原子力発電所の危険性を実際に体験した現段階においては、債務者において本件各原発の設計や運転のための規制が具体的にどのように強化され、それにどう応えたかの主張及び疎明が尽くされない限りは、本件各原発の運転によって債権者らの人格権が侵害されるおそれがあることについて一応の疎明がなされたものと考えるべきところ、本件各原発については、福島第一原子力発電所事故を盤まえた過酷事故対策についての設計思想や、外部電源に依拠する緊急時の対応方法に関する問題点、耐震性能決定における基準地震動策定に関する問題点について危惧すべき点があり、津波姑策や避難計画についても疑間が残るなど、債権者らの人格権が侵害されるおそれが高いにもかかわらず、その安全性が確保されていることについて、債務者が主張及び疎明を尽くしていない部分があることからすれば、被保全権利は存在すると認める。
6 争点7(保全の必要性)について
本件各原発のうち3号機は、平成28年1月29日に再稼働し、4号機も、同年2月26日に再稼働したから、保全の必要性が認められる。
以上の次第で、債権者らの申立てによる保全命令は認められることになるところ、債権者らの主張内容及び事案の性質に鑑み、担保を付さないこととする。
第4 結論
よって、主文のとおり決定する。
平成28年3月9日
大津地方裁判所民事部
裁判長裁判官 山 本 善 彦
裁判官 小 川 紀代子
裁判官 平 瀬 弘 子
2015/09/04現在の成績記録[大学関連記録]
投稿日時:2015/09/04(金) 08:48
8月26日、7月試験等の結果発表があった。
通信授業 4勝0敗。初めてのパーフェクト結果。
1201 人権論(同和問題論) 【合格】
2004 憲法 【合格】
2012 物権法① 【合格】
3001 親族・相続法① 【合格】
スクーリング授業(7月受講)
50237 中国語読解 【合格】(試験結果、97点 すごい!中国人になれそう。)
メディア授業
58181 労働法② 【合格】
58190 地方自治法 【合格】
2015/09/01現在の成績記録
やっと、卒業の必要単位(124単位)の半分まできた。残りの単位は、8月~11月の4回の試験と、メディア授業2科目の受講、卒論、卒ゼミ(3日間の宿泊スクーリング)で、取得する。あと、半年間、頑張ろう。
8/29、「安保法制関連法案」&「特定秘密保護法」反対第2弾兵庫パレードに参加した。[徒然日記]
投稿日時:2015/08/30(日) 15:36
昨日の8月29日、「安保法制関連法案」&「特定秘密保護法」反対第2弾兵庫パレードに参加してきた。このような政治集会に、自主的に参加するのは、何年振りだろうか。この行動には、6000人が参加と「赤旗」が報じていた。会場では、昔の仲間・先輩にも、多数会うことができて、みんな、元気で頑張っているなって、思った。
「安保法制関連法案」&「特定秘密保護法」反対第2弾兵庫パレード。29日午後4時、三宮東遊園地噴水広場。主催=兵庫県弁護士会
『赤旗』2015年8月30日(日)から転載しました。
戦争法案 芸能人も異議
“70年戦死なし すごい”“止めないと絶対だめ”
テレビ番組やツイートで
安保関連法案や戦争に対し、芸能人からの勇気ある発言が広がっています。
俳優の渡辺謙さんは28日のツイートで「国会での答弁から見えてきた、政府の定見なき推測だけで武器弾薬を携えて彼ら(自衛官)を任地に向かわせる。未来のない戦いを強いられた栗林中将と何ら変わりがない気がしてならない」と書いています。栗林中将とは、映画「硫黄島からの手紙」で渡辺さんが演じた役です。
1日には「一人も兵士が戦死しないで70年を過ごしてきたこの国」「(憲法は)世界に誇れると思う、戦争はしないんだと!」「ポケットに忍ばせた拳や石ころよりも最大の抑止力は友人であることだ」と書き込んでいます。
若者の行動共感
フジテレビ系日曜午前の「ワイドナショー」では9日、SMAPの中居正広さんがシールズなど若者の活動に触れて、「なんか動かなければこれ通ってしまうぞっていうような意識を持っていることは、すごくいい」と発言。他の出演者の「法案反対論は平和ボケ」との発言に「この70年間、日本人って戦地で死んでない。これやっぱりすごいことだと思う」と反論しました。
7月19日放送ではシンガー・ソングライターの長渕剛さんが「どんな時代でも戦争に行くのは子どもたちだ」「それぞれの人が(略)戦争をしないように訴えるべきだ」と語りました。
落語家・タレントの笑福亭鶴瓶さんは8月8日の東海テレビ番組で「あの法律も含め、いまの政府がああいう方向に行ってしまうっていうのは、止めないと絶対だめ」。対談相手の女優・樹木希林さんも「70年も戦争をしないですんだのは、あれ(憲法9条)があるから」と応じました。
アピールに賛同
女優の竹下景子さんは、愛知ゆかりの市民による「安保法案反対アピール」(25日発表)に名を連ね、「日本が戦争する国になれば、被害者であるのと同時に加害者にも成らざるを得ません」「法案に強く反対します」と談話を寄せました。
アイドルグループSPEEDの今井絵理子さんは終戦記念日の15日に「体験者が語る戦争の怖さ、苦しみ、悲しみ。目の前で仲間が死んでいく、我が子が戦地にいく、その想(おも)いを想像するとわたしは生きていけない」「今の日本の流れを拝見すると、どこかプチ戦争なら賛成! みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?」とツイート。
タレントのSHELLYさんは、衆院委員会強行採決の7月15日に、「テレビを見ながら不信感しかないです」「そんな中、今も雨の中デモを続ける方々は本当にかっこいいと思います」。シンガー・ソングライターの久保田利伸さんは「殺さない、殺されない。この時代、この平和ルールを保持する国がどれだけ尊いものか」(7月22日)と発信しています。
<<前へ | 次へ>> |