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日本独特の制度、天皇制とは

2016/07/04

日本独特の制度、天皇制とは

大日本帝国憲法において、天皇は神聖視されており、国の主権者として統治権を行使していました。現在、日本国憲法では、その1条において国民に主権があることを明示し、天皇の地位は国民の意思に従うと規定しました。

天皇制は、国家構成員を出生によって身分をわけて階級社会をつくり、そのなかで一部の者に特別な地位を認めているという点でヨーロッパなどの君主制と共通した点を持つ、日本に古くから存在する独特の制度です。今の日本国憲法の基礎となって支えている、自由や平等と真っ向からぶつかる制度といえます。

現在の天皇は日本国民統合の象徴とされていますが、この規定は天皇に対して日本国や国民を統合することを連想するような行為を行うことを要求しているというより、象徴以外の役割をもたないとして強調するための規定であると考えられています。

この規定の抱える問題の一つとして、天皇はその行為に対して法的責任を負うのかという問題があります。じつは憲法および皇室典範には明文規定がありません。それでは実際どうなっているのかというと、刑事責任については、摂政及び国事行為の臨時代行者の在任中の不訴追を定める法規定というものを類推して、天皇は刑事責任を負わないと考えられています。一方で民事責任についてどうかというと、象徴であることを理由に民事責任を否定することはできないという考え方が一般的です。天皇に対して民事裁判権が及ぶかどうかについて、最高裁判所では、「日本国民統合の象徴であることをかんがみ、天皇には民事裁判権は及ばない」と判断しています。

日本国憲法では、天皇の皇位継承について2条におって世襲制であると定めています。世襲制は憲法における自由と平等の保障の観点から考えると矛盾する制度なのですが、天皇制に必然的に付随するものであるとして、憲法の明文により例外として認められています。ちなみに、憲法で定めているのはあくまで、世襲制であるということだけなのですが、皇室典範では「皇統に属する男系の男子」が皇位を継承するものとし、その具体的な継承順位まで規定しています。

この規定によって、女性天皇が現れることが否定されていることになるわけですので、法の下の平等を定める14条に反する規定ではないのかということが問題となりました。しかし、多くの学説は天皇制自体が基本的人権の保障に対する例外という特殊空間にあるもだとして、皇位継承を男系に絞る規定は憲法に違反していないと考えています。

皇位継承は、「天皇が崩じたとき」と皇室典範で定められているため、たとえ天皇自身が望んだとしても、生前退位は認められません。

元号については、元号法によって規定が置かれており、皇位継承があった場合に元号の改元が行われるとしています。

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